おそらく日本において唯一現存する九五式小型乗用車(くろがね四起)最終生産型である。
この車輌は石川県小松市の日本自動車博物館に展示されている。
九五式小型乗用車(くろがね四起)は、通常の走行性だけでなく不良道路及び路外通過能力を持ち、伝令・偵察用に開発されたものである。
昭和9年陸軍自動車学校研究部の依頼により日本内燃機(株)が試作したもので、エンジンはオートバイと同じ45度V型ドライサンプ式空冷2気筒1200ccエンジンに3F1Rの変速機とフォードの部品を流用して製作された。
重量も1t程度に収まり、登坂も1/2まで可、悪路の通過性能も良好だったので、各部に若干の改良を加え九五式小型乗用車として正式採用された。
初期の九五式小型乗用車はロードスター型であった。
昭和11年に出力不足や各所に問題が出た為、大改修を実施。このときエンジンも1200ccから1399ccになった。
昭和13年にはボデーが全面的に再設計された改良が行われ昭和15年頃より生産され始めた。
ボデーはロードスター型から普通のフェートン型になり、ラジエーターグリルもオーバーヒートを考慮して大型になっている。
昭和17年にはさらに再改良され、ラジエーターグリルはより大型になり、サイドルーバーも追加された。
フロントフェンダーも生産性の良い型になった。 これがこの最終生産型である。
昭和10年から昭和19年まで4775台が生産され全戦域で使用されている。
諸元 : 全長 3,560mm 全幅 1,500mm 全高 1,830mm 最低地上 250mm ホイルベース 2,000mm
空車重量 1,000kg 終減速比 1:6.83 最高速度 70km/h エンジン OHV 1399cc 3,200rpm 32hp
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